杉浦 篤さん(設楽町)

山の搾油所

地元産高付加価値植物油で地域活性化を生み出す「山の搾油所」

大学卒業後、岡崎市にある基礎生物学研究所で植物分子科学の研究に従事するも、化学物質過敏症を発症。療養のため豊田市山間部での生活を経て、自然豊かな環境の下、徐々に体調が回復したのを機に社会復帰も見据え、2015月4月に設楽町田峯地区に移住し、地域おこし協力隊として3年間活動する。
設楽町の自然や文化など、地域資源をいかした取り組みを行っていくなかで、地元の特産品であるお茶に着目。奥三河有数の茶産地でありながら高齢化によって耕作放棄された茶園が増えていく現状を憂いつつも、手入れされなくなった茶の木の花の美しさやたわわに実をつける姿に感動し、「この実から油が採れないだろうか」と思いつく。茶油の成分を調べたところ、様々な効果があることが判明。杉浦さん自身を悩ませてきた肌荒れに対しても優れた効果を発揮する可能性が示されたため、設楽町産の茶種子から搾ったスキンケアオイルの開発・製造に着手。2018年4月に「山の搾油所」をオープンし、「設楽茶油」の製造・販売を開始した。
自身が化学物質過敏症、アトピー性皮膚炎で苦しんだこと。また植物分子科学の研究者だった経験を活かした商品開発を強みに、事業開始以来、肌荒れに悩む方々を始め、茶製造業や医薬品・化粧品業界などからの注目が高まりつつある。今後は肌荒れに悩む人たちを助ける活動はもちろん、生産量を増やすための原料の安定確保や、茶種子以外の奥三河に眠る植物資源の探求を進めることで、耕作放棄された茶園の活用、山里の価値を高めたいと考えている。そして「設楽茶油」を通して、田峯のお茶の質の良さ、自分の健康を回復してくれた環境の良さなどを広く世間に伝えると共に、自分を受け入れサポートしてくれている地域や人々に恩返しをしていきたいという思いも強く持っている。現在、「設楽茶油」は設楽町ふるさと納税の返礼品として採用されている。

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