「私たちは霞を食べて生きていくことはできません。なりわいとは生活費を確保すること。
社会とかかわる以上、経済のルールから自由になることはできません…」。
講師である、さんだん會計事務所代表、税理士・経済産業省認定支援機関・MBAの近籐智也先生の、
そんなメッセージから始まった三河の山里なりわい実践者向け支援セミナー「お金」編。
今期第2回めとなる今回は、『収支計画立案のためのワークショップ』と題して、
8月5日(水)と12日(水)に、新城市湯谷温泉「Hoo!Hoo!」地下1階のシェアオフィスにて実施いたしました。
なりわい実践者らが自分の事業を進めるにあたり、お金の出入りをしっかりと理解し、
把握しておくことはとても必要なこと。
その上で、収支をどう計画し、どう目標を立てるのかが重要です。
その方法を知ることが今回のセミナーの目的!ということで、
今回は、なりわい実践者10人を3つのグループに分け、グループ毎に時間を取って、
近籐先生の指導の下、なりわい実践者の皆さんにじっくりとワークに取り組んでもらいました。
まずは自分の事業に必要なお金の流れを確認し整理することから。
どこから入金され、どこへの出金があるか?思いつく限り書き出していきます。
それをグループのメンバーにシェアし、自分の気づき(あ、これ、記入漏れしていた!)と
相手への指摘(あれは記入しなくていいの?)の意見交換。
意外と出て行くお金、忘れている費目ってあるんですよねー。
自分のキャッシュ・フローを確認したら、次は勘違いしやすい変動費と固定費の意味や、
粗利率とほぼ同等を表す限界利益率についての説明、
また、「同業者はいくらで仕入れて、いくらで売っているか?」収支計画する上で
欠かせない同業・近隣業種の平均粗利率のデータの調べ方や、
さらには「同業」の考え方なども近籐先生にご教示いただきました。
クライマックスは、なりわい実践者各々が、自分が欲しい生活費を設定し、
その生活費を得るためにはいくらの売上高が必要かを、
固定費の積み上げ計算と同業者の平均粗利率データから導き出すワーク。
その結果、実際に導き出された売上高は、「想定内」という人もいれば、
「思った以上にがんばらなきゃいけない」って人も。
想像以上に取らなければならない売上の数字が高くなってしまった場合には、
考え方の見直しや数字の修正方法などを近籐先生がアドバイスくださいましたよ。
今回のワークショップで導き出された収支の数字は現時点でのたたき台ですが、
ワークを通して、自分の収支の数字と向き合ったことで、
事業に関するお金への理解を深めることができたものと感じます。
これをもとになりわい実践者は今後、リアルなゴールラインの数字を目標に、
収支計画を立てていくことになります。
さて、とりあえずは来年4月の三河の山里サポートデスクの支援終了後が目標。
それまでに、今回導き出した売上高を獲得できる事業体制が整っているか?
どのようなスケジュール感で目標の売上高を獲得していくか?
などなどを考慮しながら活動していく必要があり、なりわい実践者と収支計画とはこれから先、
長いお付き合いになりそうです。
最後も近籐先生からのメッセージを。
「私たちは、自らの生活費を獲得し、
さらには事業に参画してくれる人の生活費も確保できることで、
私たちの考える事業や理想が持続可能なものとして社会的意義を持ち続けることができます」。
山里でのなりわいには、理想や情熱の他にも、
お金を稼ぐ力やお金を管理する力も重要であることをあらためて感じたワークショップでした。