あいば
金継ぎでつなぐ、新たな価値と持続可能な未来
高校、大学と建築を学んできた相羽涼汰さん。注文住宅会社に就職し、難関といわれる一級建築士の国家資格も取得。順風満帆に人生を進んでいるかに見えましたが、いつしか心身は疲弊していったと相羽さんは体裁やプレッシャーに捉われていた会社員時代の自分を振り返ります。
その頃、岡崎市額田地区で出会ったのが、破損した器などを漆を使って修復する伝統的な技法・金継ぎでした。魅了された相羽さんは、額田で漆職人として活躍する伊藤広之氏に師事し金継ぎの世界へ。額田に通い、地域の人や自然に触れて行くうちに自分の心身が元気になっていくのを感じたと言います。
「金継ぎは傷を隠すのではなく、むしろ漆や金粉で強調させて唯一無二の美へと再生させます。それは人の心も同じなのではないか。私にとっての漆や金粉が額田の人や自然。傷ついた自分だからこそ新しい自分になれた」と相羽さん。
また、金継ぎを習得して行く中で、地域の伝統文化である漆の技術や製品の衰退はじめ森林や空き家など額田の課題も知り、金継ぎで地域を活性化できないかと考えるようになったともいいます。まずはできることからと、今年1月より金継ぎ教室を岡崎市のまちなかでスタートさせ、地域の伝統文化と技術の伝承、そして、市街地から額田への集客で活性化の一助になればと考えています。
今後は、金継師としての技術により磨きをかけると共に、額田で栽培されている漆の使用も見据え、額田産の木材や空き家などの古材、駆除された鹿の角や革などを利活用したオリジナル漆商品の開発にも注力していく予定。さらには額田地区に、自身の作品を展示販売するギャラリーや金継ぎ教室、ワークショップなどができる拠点づくりも目指しています。
愛知県みよし市出身。特技は書道。
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