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日本の奥行案内人

日本の奥行案内人

モノサシをかえたら見えてきた、奥大和の豊かな暮らし。

坂本大祐さん(左:合同会社オフィスキャンプ):デザイナー。大阪から東吉野村へ移住し、古民家を改装したシェアオフィスを運営。奥大和のさまざまなプロジェクトに携わる。

福野博昭さん(右:奈良県地域振興部次長):奈良県庁の風雲児?山間部の振興や移住促進に関わる多くのプロジェクトを手掛け、成功させてきたことで知られる。(右)

奈良県東吉野村。奥大和と呼ばれる山間部エリアが、地域おこしの成功例として注目を集めています。そのキーマンが奈良県庁の福野さんとオフィスキャンプの坂本さん。お二人に奥大和の魅力や若い移住者のこと、地方で働くことなどについてお話をうかがいました。

普通の価値観って、なんだ?

●奥大和には、クリエイターをはじめいろいろな人が集まってきていますね。その魅力はどこにあるのでしょう?



坂本:僕が大阪から奥大和に移ったのは10年ぐらい前なんですが、一番違うのは人がつくった物があまりないことなんです。山に川、周りに自然しかない。都会は全部人が考えたものだけでしょう。便利だけど、予定調和の中にずっといる感じ。地方って予定調和がない世界で、影響を受けるものが変わるんですよ。都会にいると人工物しか目に入ってこないので、人からしか影響を受けないんですが、人工物があまりない地方では、人以外のものから影響を受ける。発想の源泉が変わるので、自ずと出てくるものも変わってくる。そこが魅力なんじゃないでしょうか。



福野:東京や大阪に行って何がしんどいって、空が見渡せないことなんですよ。もちろん街は好きだし、遊びにも行きます。でも暮らすなら、奈良がええなぁ。朝は鳥の声がうるさいし、夏は蝉の声がうっとうしいけど、東京のホテルにいて聞こえてくるのは車の音ばかり。やっぱり、空は見渡せるところの方がいい。視野が広くなってクリエイティブなことができるし、豊かな暮らしができると思うんです。



みんな東京基準に合わせにいくから苦しくなるんですよ。例えば、田舎は上水道の普及率100%を目指してるんだけど、よく考えたらそのまま飲めるキレイな水があれば、上水道はいらんわけよ。そっちのほうが豊かでしょ。
今までの普通は本当に普通なの?こっちの暮らしの方が普通だし、もっと豊かでクリエイティブなんじゃない?こういう価値観を、今はネットで発信して誰とでも共有できる。だから、全国から地方にセンスのいい人たちがやってくるんですよね。

写真:奥大和の風景



移住をゴールと考えるのは、街の視点。

●各地で人口減少が進む中、移住施策をどうするか、どこも頭を悩ませています。奥大和は若い世代の移住者が多いですね。



坂本:今まで13組26人が移住してきたんですが、最近、面白いのは20代の子が来るようになって、ここで出会ってつき合い出したりとか(笑)。東京や海外からもやって来た子もいます。民家に住んでオフィスキャンプに通ったり、隣町で飲食店を開いたり、漫画家が移住してきたり。仏師や写真家もいますね。いずれ空き家だけを使っていると足りなくなるので、住居整備の必要性を感じるほどです。



福野:今の若い子は誰かと競争して勝つとか、そういうのはどうでもよくて、日本が良くなったらいいなとか、自然にみんなのことが考えられる子が多いんです。将来の大きなビジョンと、やらなければいけない毎日の小さなこと。その両方にバランスよく向き合えるし、小さなことも面白がってやっていて無理してないよね。



坂本:若い世代の価値観が完全に変わりましたよね。僕らの世代は地域のコミュニティに入ることを面倒くさいと思うんだけど、若い子は違う。地域の人たちとの関係も、若い子は体験したことがないから面白がっている。自分からコミュニティに入って、村の住民とベッタリくっついてますよ。



福野:ただ僕は、移住をゴールと考えるのは街の視点だと思うんです。人口を互いに取り合っても仕方ないでしょ。それよりどこに住んどってもいいけど、奥大和を自分のふるさとだと思ってくれることの方が大事。移住しなくてもつながり合って、オフィスキャンプという基地に話が合うやつが寄ってくる。ふるさとは何個あってもいいんです。そうみんなが思うようになることが大切じゃないですか。



「働く」は、なんのため?

写真:オフィスキャンプ外観

●シェアオフィスをつくっても、うまく活用できなかったり、地方に仕事がないというのが課題だと思うのですが。



福野:まず、シェアオフィスをやるときは運営者が重要なんですわ。その人に思いがないと絶対にうまくいかない。それと、シェアオフィスを何のために作るかと言ったら、新しいきっかけや関係が生まれる場所をつくるため。つまり、きっかけに投資してるんです。
オフィスキャンプの場合、手に職を持っている人、クリエイティブな人に来てもらうのが最初のコンセプトでしたが、やり出したら地域に仕事が結構あるってことに気がつきました。一緒に来たパートナーにも働き口はある。ベンチャーや能力がある人は、地方に行った方がチャンスは広がりますよ。



坂本:本来、人が働くのは暮らすために働いてるはずなんですが、主客が逆になって働くために暮らしている人が多い。会社が近いからここに引っ越しました、という人が結構いますよね。「働く」と「暮らす」をもう一度見直して「暮らす」に立脚点を置かないと、面白いものができないんじゃないでしょうか。みんな同じように暮らして仕事をしていては、同じ発想になってしまう。そうじゃない場所で暮らすからこそ、新しい発想が出てくるんです。



福野:今は会社に行かなくても仕事ができる時代。だから、どこでも暮らせますやん。それに能力のある人たちは勝手につながって仕事を生み出していってますよ。大成功する必要はないんです。そういう時代じゃないと思うし、ぼちぼちやるのがカッコいい。やっぱり、一旦モノサシをかえた方がいい。センチメーターやめて、尺にした方がええかもね(笑)。



坂本:働く場所がないから地方で暮らせないというのは、発想がコントロールされているだけで、本当に住みたいんだったら方法なんていくらでもあるんです。福野さんの言う能力というのは、自分の力で暮らしや仕事をつくるんだ、と意識を変えられるか変えられないかの違い。受動的に仕事を受けているだけでは、その他大勢的なことしかできない。そうではなく自分の中から出てきたもので何かをすると決めれば、どこだって住むところは選べるんです。
実際、僕は奥大和に来てから仕事が全く変わりました。大阪にいた頃はともすれば仕事のための仕事ということが多かった。芯のある仕事というか、何のためにやっているのか、自分でわかっている仕事が少なかったんですよね。でも地方では何でも自分達でやることになるから、そこが明確。仕事の幅も広がっていきましたね。



ここから未来をつくろう。

●お二人のお話をうかがっていると、ワクワクしてきますね。互いに全幅の信頼を置いて活動されている点にも心打たれます。



坂本:福野さんと出会い、いろいろなプロジェクトに携わるようになったんですが、こういう大人の人ってホント少ない。仕事やお金の話をする人はいっぱいいますけど、どういう生き方がしたい、としゃべれる人ってなかなかいないでしょう。 でも、奥大和ではそういう話をできる人が増えてきている。自分たちの未来が面白くなるような新しいことに携わっている、ということが喜びでもあるんです。
仕事というのは1回やったことをなぞった方が楽なんですが、福野さんとはずっと新しいことばっかりやっています。先は見えないんですけど、「行こうぜ」という人がいてくれるから行ける。周りにもそんな人が増えつつあり、地方にはこういうプレーヤーがたくさんいるんだと感じています。



福野:大ちゃん(坂本さん)と共有しているのは、「俺らで新しい未来をつくるねん」という志。「主体的につくらなければ面白くない。歴史を変えるような新しい何かをつくろうな」と語り合っています。
今、進めているのは廃校などの有休施設を使った実店舗をつくる計画です。前にイケアを見に行ったとき、趣味に合わせて暮らしを提案する部屋があって、それが面白かった。そこで奥大和イケア計画と銘打って、ここでいかに豊かに暮らせるか新しく提案したいな、と。



坂本:正式なプロジェクト名は、WHOLE LIFEプロジェクトです。奥大和の暮らし全部という意味で、奥大和でものづくりしている人を集めて、食べ物から家まであらゆるものを売る場所をつくろう、というのがコンセプト。奈良も奥三河もそうだと思いますが、地域で生産しているのに、それを買える場所が地域にないんですよ。それっておかしくありませんか。エリア内で生産されたものに再投資されてエリア内で経済が回っていけば、地域はもっと豊かになるはずです。



福野: 3年計画で進める予定です。「次から次へと暴走を続けるんや!」と思って、いろいろやってきましたけど、この店づくりはその集大成。『ソトコト』や『Discover Japan』の編集長、中川政七商店の代表もそのプロジェクトに加わってくれて、なんや面白いことになりそうですわ。

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